「和心求道」京の料理人世界に和の心を伝える

令和元年度文化交流使(長期派遣型)
田村 圭吾
京料理 萬重若主人,全国芽生会連合会 監事
  • 派遣国:ニュージーランド,エルサルバドル,ハンガリー,北マケドニア,レバノン,アラブ首長国連邦
  • 活動期間:2019年8月26日~10月4日

料理は世界どの国の人にとっても最も身近で生活に欠かせないものです。そのため「文化」としてとらえられていない側面がありますが,その地域文化を知る上で最も解かりやすいツールだと思います。我が国においても2013 年にユネスコが「和食」を無形文化遺産に,国も2017 年法律改正により「食」がようやく文化としての地位を確立しました。

エルサルバドル プロ向け講習会

ドバイ 専門学校での講習会

それを受けての今回の派遣。日本食の技法をただ単に伝えるのではなく,「和食文化セミナー」の実施を通じて,山海川など自然の恵みには万物に八や百お万よろずの神と言われる,精霊や自然神が宿り,その恩恵に感謝して文化を形成する我が国民の精神性。食前に命をいただくという意味で「いただきます」と言い,その神を粗末にしないという考え方から「もったいない」という言葉が生まれたこと。松竹梅に込められた「堪え忍んで強く生きること」の意味。降雪の冬にでも生命力豊かな松竹。松は太く根を生やし,大地からの生命のエネルギーを得ると考え生命力の源であること,竹は風雪にさらされ倒れそうになってもその度に跳ね起き屈強にも耐える強さを,寒さの中にあって最初に美しい花を咲かせる梅。ユネスコ無形文化遺産の登録の意味,日本食が世界でも珍しい「うま味」を中心に食が形成されていてヘルシーで健康的なこと。「和をもって尊し」という言葉を大切にし,それぞれが個々を大切にしながらも互いを尊重し,融和を図る国民性であることを伝えました。

レバノン プロ向け講習会

ニュージーランド 大使公邸での晩餐会

そのことを「市民向け講座」「プロ向け講座」「専門学校での授業」「晩餐会」など様々な機会を通じて,6 か国780 名の方に実演・試食を通して実際に味わい,体験していただき,日本文化の素晴らしさ,奥深さを理解していただけたことは成果であり,「食」は世界に通じる共通ツールで,特に文化性が高い我が国の食は習慣,哲学,思考など世界の人々に日本国を理解していただくには大変明快で,親しみやすい有効な手段との意識を改めて感じました。

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