「KAWAII」という言莱で,世界をひとつにできるか?

平成29年度文化交流使(長期派遣型)
増田 セバスチャン
アートディレクター、アーティスト
  • 派遣国:オランダ、南アフリカ、アンゴラ、アメリカ、ボリビア、ブラジル
  • 活動期間:2017年9月21日~10月17日、11月1日~12月19日、2018年1月2日~2月24日、3月3日~4月1日

日本のポップカルチャーのムープメントが世界で急速的に広がっているという事実は, 日本国内にいるとなかなか実感できないものです。
今回この文化交流使の機会をいただいて,僕の作品のコンテクストである「KAWAII」が,世界でどのように広がり, どのように支持されているのかを実際にこの目で確認するということが目的のひとつでした。

ボリビアのワークショップに集まったKAWAII文化のフォロワーたち

そこで, 2014年より世界中で取り組んでいる「タイム・アフター・タイム・カプセル」というアートプロジェクトを,訪間国各都市で実施することにしました。
これは,各都市の美術館などにハローキティやテディベアなどのキャラクター型の透明なタイムカプセルを設置し,ワークショップを開催して未来へのメッセージを書いてもらい,それを可愛くデコレーションして,カプセルに納入してもらう…という参加型の作品です。
カワイイという言葉に惹かれてそこに集まる人びとや,タイムカプセルの中に入れられたカワイイものや未来へのメッセージ。
それらはすべて「希望」という言葉に置き換えられ,今という時代の空気感ごと,アーカイブしてしまうことで,時代に対する閉塞感や人種・宗教・性別・国境などの様々なボーダーを乗り越えてしまおうというのがこの作品の大きな主旨です。

プラジルでのTIME AFTER TIME CAPSULEにて手紙を入れる様子

その後タイムカプセルは,一旦2020年のオリンピックイヤーに世界各地から東京に送られ,縦に大きく積み上げて,大きな「KAWAII」モニュメントとして制作していきます。
交流使としての訪間国(オランダ,アメリカ,南アフリカ,アンゴラ,ボリビア,ブラジル)では,「KAWAII」についてのレクチャーとタイムカプセルの手紙のワークショップを実施しました。
アフリカのアンゴラでは, 日本という国への関心が少ないと聞いていましたが,実際現地を訪ねれば,そんなことは全然なく,むしろ多くの日本の知識と興味を持って参加してくれました。南米のボリビアでは,近隣のペルーやチリなどの国からも駆けつける参加者がいたりと,南米らしい熱を持ったイベントになりました。
ブラジル・サンパウロでは,会場であるジャパン・ハウスのイベントの中でも,過去もっとも多い参加者が集まり,訪問国中最大のイベントになりました。
どの国も熱狂的に迎え人れられるさまをこうやって体験すると, 日本のポップカルチャーの影響力の大きさを感じずにはいられません。


アラスカのアンカレッジミュージアムでのワークショップ

「KAWAII」。それは,決して表面的な可愛さや派手さのことだけを指す言葉ではなく,内包する発想の自由さやクリエイテイビティ,そして,「KAWAII」という言葉を心に持つことで得られる,誰にも何事にも縛られない自由さ,力強さを表す言葉です。
「KAWAII」は,もはや日本が生み出した,若い世代になくてはならない,彼らだけの特別な「概念」や「哲学」にまで昇華しているということを体感した旅でした。

 

増田 セバスチャン プロフィール