落語を通しての日本語学習と文化

平成28年度文化交流使(長期派遣型)
柳家 さん喬
落語家
  • 派遣国:アメリカ,カナダ
  • 活動期間:2017年2月5日〜3月6日

今回,カナダ・アメリカを中心に,トロント大学,ボストン大学,ハーバード大学,ミシガン大学,パデュー大学,UCLA,ハワイ大学,ボストンラテンアカデミー,日本語補習学校などを中心に,日本語学習をなさっている学生さん及び一般の方々に,落語を通して日本語と日本文化への興味と理解を深めていただくことを目的に活動させていただきました。それに加え各地の総領事館と国際交流基金の協力を頂き,一般の方々も多く参加してくださりパワフルな公演ができたような気がいたします。文化交流使としての活動公演は,最小限の字幕を使い,少しでも落語を通して日本語学習や日本の古典的文化を楽しく観ていただくことに重点を置きました。
多くの字幕を使うと,字を追うことに集中してしまい,演技や言葉が伝わらなくなってしまいます。
落語を楽しみ言葉をより身近に感じていただくには,最小にとどめた方が効果的だと思います。

ミシガン大学での落語会の様子

其々の公演先には日本語を理解できない方も多く参加してくださいましたが,その多くの方々が,日本で演じる際と同じところで笑っていただけたことに喜びを感じました。
また,日本の古典芸能が,人間の心の奥を表現しそれを観客に委ねて感じて貰うことが多いと思います。
落語もその部分を重要な表現として演じます。今回大きく感じたのは,その心が観客に伝わり深く理解していただけたことだと思います。おそらくこれは全ての文化交流使の方々が折に触れ感じたことだと思います。

パデュー大学での稽古風景

ワークショップとしての活動としては,大学生,高校生に,それぞれが日本語で覚えた小噺を稽古して差し上げました。
皆さんは真剣に稽古に参加してくださいました。
何度も繰り返し稽古をしているうちに自分で演技を考えるようになり,一度目の稽古とは違う演技になり,日本語を操ることを楽しく感じてくれるようになりました。
皆さんには各公演先で,一番手として観客の前で小噺を披露してもらいました。
緊張の色は隠せずに上がった高座で,観客が笑い拍手をしてくれると,嬉しそうな顔をして戻って来て,他の出演者とお互いに親指立てて喜びあっている姿は,こちらも感動して嬉し涙がこぼれそうになりました。
日本語を上手く使えない,日系二世,三世の方々も多く参加してくださり,控室に来てくださり,「素晴らしい公演を有難うございます,日本人としての誇りを持ちました」と言われた時,「来てよかった!」と心底より喜びがこみあげました。
お世話を頂いた皆さんに心より感謝申し上げます。

トロントの国際交流基金でのトロント大学生へのワークショップ

 

柳家 さん喬 プロフィール