10ヶ国14都市での日本舞踊紹介 感じた意義と責任

平成28年度文化交流使(長期派遣型)
藤間 蘭黄
日本舞踊家
  • 派遣国:アメリカ,チェコ,ウクライナ,ポーランド,ハンガリー,スロベニア,フランス,ロシア,ドイツ,イタリア
  • 活動期間:2017年3月29日〜7月25日

「日本舞踊を世界に発信する」ために,衣裳・鬘(かつら)をつけた『山帰り』,素踊り(扮装なし)の『都鳥』の2 演目を選定,これを柱に講演の資料やワークショップ用の30 本の扇子などを用意し,3月29 日に出発しました。

『都鳥』上演(プトゥイ・ドミニコ修道会教会ホール 2017/6/19)

最初のハワイでは現地在住の門弟が公演をアレンジ。2演目に加えピアノ演奏で『荒城の月』を披露。すでに日本語を話されない日系の方が,邦楽の拍子とともに身体を揺らし,「春高楼の…」と口ずさみながら涙を流されていました。活動の対象に当初「日系人」は考えていませんでしたが,そこにも大きな意義を感じました。それは次の活動地シアトルでも同様でした。

『都鳥』解説付き公演(クラクフ・日本美術技術博物館ホール 2017/6/1)

ワークショップは子供達からプロダンサーまで様々な方を対象に,プラハやパリなどで行いました。日本舞踊では男性も女性を,女性も男性を演じるため,男女役の基本的な身体の使い方などを説明。どこの会場でも楽しそうに異性を演じていました。ただ,受講者には「伝統芸能体験」ではなく「安直な模倣」が目的の方もおられ,ワークショップの難しさも感じました。
NY 大学などでは「日本舞踊とは」という講演も行いました。歴史から紐解いての内容は,学生だけでなく日本語教師にとっても興味深かったようです。

『都鳥』解説風景(プラハ・ナ・プラードレ劇場 2017/5/11)

ブダペスト他の劇場公演でも必ず解説を付けました。男性の私が作品の中で女性にもなり,扇子が風にも波にも,あるいは徳利にも煙管にもなる「見立て」を実演付きで説明してから作品を見て頂くと,やはり観客の集中度は増します。
キエフでは寺田宜弘さんと彼が芸術監督を務めるキエフ国立バレエ学校の生徒達,ピアニストの木曽真奈美さんと共に日本舞踊&バレエの『展覧会の絵』(ムソルグスキー作曲)の創作活動を連日行い,5月27 日に曲のモチーフとなった史跡「黄金の門」で念願の世界初演を果たしました。また,サンクトペテルブルグでは,ファルフ・ルジマトフさん,岩田守弘さんと『信長』のリハーサルを行い,8 月5・6 日,東京で無事に上演することができました。
「舞台を通して日本の美意識に触れることができました」-ナポリ公演後に聞いた感想です。嬉しさと同時に日本舞踊家としての「責任」も強く感じました。この4ヶ月の貴重な経験を活かし,今後も活動していきたいと存じます。

ワークショップの模様(プラハ音楽アカデミー 2017/5/9)

 

藤間 蘭黄 プロフィール