ICONIC BRANDING

平成28年度文化交流使(長期派遣型)
佐藤 可士和
クリエイティブディレクター
  • 派遣国:アメリカ,イギリス,フランス
  • 活動期間:2017年3月18日〜4月17日

今回,クリエイティブディレクターという職種としては初めて文化交流使に選んでいただきましたが,これはクリエイティブディレクションという仕事が,日本文化の一端を担っていると正式に認めていただけたということでもあると思っております。仕事で海外に行くことは多いですが,クリエイティブディレクションやデザインを,日本の文化としてプレゼンテーションしたことはなかったので,とてもよい機会をいただきました。

NY の日米交流団体JAPAN SOCIETY での「ICONIC BRANDING」の講演

ニューヨーク,ロンドン,パリで行った講演では,近年手掛けてきた有田焼や歌舞伎の八代目中村芝翫襲名披露公演など,日本の伝統文化と深く関わる仕事を中心に,「ICONIC BRANDING」という私のこれまでの仕事に一貫するデザインフィロソフィーについてお話ししました。世界中の情報があふれ,グローバル化,多言語化も加速する現代の社会において,“言語外言語”であるデザインを用いたコミュニケーションは,イメージ形成の上で非常に重要な手段です。中でも強い「アイコン」を作り効果的に発信していくことによる理解の深化とスピードは,言語や習慣の壁を超えてコミュニケーションができる突破力を持っています。講演の中では,「アイコン」としてまず思い浮かぶ<ロゴマーク>のみならず,MADE IN JAPANの安心・安全・高品質の象徴となった「今治タオル」の純白のタオルのような<プロダクト>,近未来的なインテリアや什器で話題を集めたユニクロのT シャツストア「UT STORE HARAJUKU.」などの<空間>,園舎自体を巨大な遊具と捉えた「ふじようちえん」などの<建築>,また街をキャンペーンビジュアルでジャックしたユニクロの世界展開などのような<街の風景>,さらには,伝統と革新の融合を実現させるべく,有田焼の職人が絵付けなどに用いるダミ筆という伝統的な道具をあえて使い,スプラッシュペインティングという型破りな手法に挑戦した『DISSIMILAR – 対比-』シリーズに見られる<方法論>という,6 つのタイプの「アイコン」を事例とともにご紹介しました。パリでは,日本文化会館並びにThe Japan Store ISETAN MITSUKOSHI Paris において,その『DISSIMILAR』シリーズの磁器と新作ドローイングの展示も行い,私が作品や制作背景について解説するギャラリーツアーも行いました。

Q&A も非常に盛り上がったThe Japan Store のギャラリーツアー

このようなかたちで海外の方々とお話し,直に反応を聞いて,膨大な情報を得る中で多くの発見もありました。一連の仕事に対して,日本ならではの「間」やミニマリズムを感じるという反応を多くいただき,日本文化,特に伝統をいかに革新していくかということへの関心の高さを感じました。また,文化を伝える上では,単体のコンテンツだけを持っていくのではなく,しっかりとその背景のストーリーをつくってプレゼンテーションすることが非常に重要であることを改めて認識しました。今回得た経験を活かし,日本の優れた企業やブランド,コンテンツ,伝統的工芸や地場産業などを,デザインの力を活用して広く世界に発信していくことに,より力を注いで参りたいと思っております。

The Japan Store ISETAN MITSUKOSHI Paris では有田焼作品『DISSIMILAR』を展示

 

佐藤 可士和 プロフィール