海外における日本文化発信拠点の構築

平成27年度文化庁文化交流使(長期派遣型)
吉田 健一
「吉田兄弟」,津軽三味線奏者
  • 派遣国:オランダ,スペイン,イタリア,ポルトガル
  • 活動期間:2016年3月27日~5月25日

オランダ/アムステルフェーンでの「吉田兄弟公演」
スペイン/マドリード・バレンシアでの吉田健一ソロ公演

これまでの活動を通して,「吉田兄弟」という名前の知名度は現在もあり,やり方次第では更なる日本文化の発信,発展に繋げられることを再確認しました。しかし課題も多くあります。今回のような活動や公演をする度に感じることは言葉の壁です。単に通訳の方がいれば良い,或いは,英語が出来れば良いというものではなく,文化交流である以上,現地の文化に歩み寄ることが絶対的に必要であり,それが後の交流に影響してくると考えるからです。これは,現地協力機関などとの事前の打合せやフォローにより,改善出来るのではないでしょうか。

スペイン/マドリード,イタリア/ローマ,ポルトガル/リスボン,カタルーニャ エイサンプル市立音楽学校,バルセロナ日本人学校でのレクチャー&デモンストレーション

楽器の歴史,構造などの説明をした後,現在の伝統文化が日本国内外においてどのような広がりをみせているのかを映像や演奏を通して伝え,最後に質疑応答で理解を深めるという内容のものです。このレクチャー&デモンストレーションの利点は,通常公演に比べ,事前準備や費用などを抑えることが出来ることにあります。
また,日本文化に興味のある人達を増やす絶好の機会であり,この層の開拓こそが今後の文化の発信に繋がると考えます。大事なのは,人と人とのコミュニケーションから生まれる発展です。どれだけインターネットやSNS が発達しようとも,これに勝るものはないと思います。

ESMUC カタルーニャ高等音楽院での特別授業

今回の中心的プロジェクトです。僕が何故バルセロナに拠点を置いたのか。それは先ず,この街には異国の文化を受け入れる土壌があると感じたからです。あらゆる文化がこのスペインから生まれています。フラメンコもその一つです。日本で言う民謡であり,津軽三味線との類似点を多々感じています。
文化交流において必ず上がる課題は費用と人材です。限られた時間,経費で恒久的なプロジェクトにしていくには,現地で活動することの出来る伝道師的な存在が必要となります。そこで,目を向けたのが音楽大学です。楽器のプロを目指す者であれば,他国の楽器に興味を示す可能性は高く,上達も早い。事実,マスタークラスを受講したリュートとクラシックギターの生徒は,8 回の授業で僕が作曲した課題曲を完全にマスターし,アドリブが出来るまでに上達しました。これは通常ではあり得ないスピードです。
最後の発表会の後,彼らは「津軽三味線を弾き続けたい!」と言ってくれました。ここで初めて本当の意味での文化交流が生まれ,僕が受講生に伝えたことは,僕自身がそこに存在しなくとも,彼ら自身が一つの発信拠点として日本文 化を広める役割を果たし,日本に興味を持つ方々が増えていくことに繋がっていくのだと思います。

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特別授業/カタルーニャ エイサンプル市立音楽学校

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レクチャー&デモンストレーション/リスボン オリエント博物館

吉田 健一プロフィール