Washoku for All -和食を世界に-

平成27年度文化庁文化交流使(長期派遣型)
柳原 尚之
近茶流嗣家(きんさりゅうしか)、「柳原料理教室」 副主宰、料理研究家
  • 派遣国:ニュージーランド,ブラジル,カナダ,アメリカ
  • 活動期間:平成27年7月29日~9月20日,平成27年9月28日~11月8日

2013 年ユネスコ無形文化遺産に認められ,世界の有名料理人が食材,調理法などを,自国の料理に取り入れ始めたこともあり,和食は世界的に注目されています。一方,海外にある和食料理店では,他のアジア料理と合わせたフュージョン料理が出されることが多く,和食本来の姿を海外の方々が体験する機会は多くないのが現状です。

今回の文化交流使では,これから活躍する若い人たちに本当の和食に触れてもらいたいという思いから,各国の大学や,料理学校にて,料理を専攻する学生を対象とした活動を多く行いました。

講義では,座学,実演,実習の3つの柱をつくり,学校側の希望や講義の期間や人数に応じて,プログラムを立てました。座学では,和食の特徴である,季節感,豊富な食材,健康的な献立,年中行事との関わりの話から,歴史的,文化的背景などに至るまで,動画や画像を多く用いて説明しました。

実演では,日髙や利尻など4 種類の昆布や鰹節削り器の実物を見せながら,だしをひくところから始まり,お椀や煮物,寿司などをつくりました。

実習では,実演でみせた3,4 品の料理を学生達に作ってもらいました。学生達が魚をおろす場合は,日本から持ち込んだ出刃包丁と柳刃包丁の和包丁10 本を使えるようにしました。切れ味の良い和包丁は人気で,いつも順番待ちになりました。

3か月の活動を通して,寿司や天ぷらだけではない,もっと深い和食の魅力を伝えることができたかと思います。和食の水や調味料に対する考え方やだしの話など具体的な講義ができて,これがきっかけとなり,もっと海外での和食文化が発展することを期待しています。一方,海外では日本食材の入手が難しい場合も多く,特に和食は水自体も味に影響するために,現地での適した水探し,そして代替えになる食材を探すなど,日本では感じえない海外での和食をつくる難しさも実感しました。学生達の和食への熱意を

肌で感じ,多くの料理人や料理関係者との交流できたことは,私にとっても大きな収穫となりました。

最後に,プログラム作成段階から現地の記録撮影までサポートしてくれた,友人安藤卓氏には,深い感謝をしたいです。また,各活動先に食材の提供をしていただいたキッコーマン株式会社,株式会社マルハチ村松の両社には御礼を申し上げます。

ニュージーランド オークランド工科大学でのデモンストレーション風景 だしをひいているところ

ニュージーランド オークランド工科大学でのデモンストレーション風景 だしをひいているところ

ブラジル クリチバ日系婦人会講習風景

ブラジル クリチバ日系婦人会講習風景

カナダ大使館公邸食事会での料理 サーモンとたい昆布締めの手鞠寿司

カナダ大使館公邸食事会での料理 サーモンとたい昆布締めの手鞠寿司

カナダ ジョージブラウン大学にて和包丁を使って魚を捌く

カナダ ジョージブラウン大学にて和包丁を使って魚を捌く

アメリカ カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカにて「なぜ日本は魚食文 化が発展したか」についての説明中

アメリカ カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカにて「なぜ日本は魚食文
化が発展したか」についての説明中

柳原尚之プロフィール