能と現代音楽 ヨーロッパで作曲家に会う

平成27年度文化庁文化交流使(長期派遣型)
青木 涼子
能×現代音楽アーティスト
  • 派遣国:アイルランド,フランス,ドイツ,デンマーク,イギリス,ハンガリー,イタリア
  • 活動期間:2015年6月20日~ 8月9日,2015年9月17日~11月1日

私は東京藝術大学で能の観世流シテ方を学び,現在は「能×現代音楽アーティスト」として,能の「謡」を素材に用いた作品を,作曲家に委嘱し,ヨーロッパでの公演活動を多く行ってきた。今回の文化交流使の期間中は,能からインスパイアされた新しい音楽作品,舞台作品を今後生み出すために,欧州の作曲家,オペラ演出家との共同制作や情報交換を実施した。

まず,今回の活動の柱として「Meeting Composer」と題し,私が今後作品を書いてもらいたい作曲家に公開プレゼンをするという企画を実施した。内容としては,はじめに私が自分の活動についての口頭のプレゼンテーションを行い,その後,古典の能からの抜粋,そして地元の奏者を共演者に迎え,私のために書かれた現代曲を演奏。後半は,それを受けてゲストの作曲家と私が,能の新作の可能性について対談を行った。フランス,ハンガリー,ドイツの3 か国で,パスカル・デュサパン,ペーテル・エトヴェシュ,細川俊夫という音楽の世界のトップレベルの作曲家をゲストに迎え,各都市で大きな反響を得ることができた。

作曲家だけではなく,オペラ演出家とのコラボレーションも実現した。来期,ミラノ・スカラ座でデビューする今注目のオペラ演出家である,フレデリック・ウェイク=ウォーカーとのワークショップの成果発表とトークイベントを,ベルリンの在ドイツ日本国大使館で行った。また,アイルランドでは能に深い関心を持っていたことで知られるW.B. イェイツの生誕150 周年であることにちなみ,各地でコンサートとレクチャーを実施した。このほか,デンマーク,イギリス,イタリアにも赴き,コンサートやレクチャーに加え音楽関係者との情報交換を行い,貴重な機会となった。

このような約100 日間の文化交流使の活動を終え,帰国した。私が行っている能と現代音楽の活動は難解で,エッジがきいているものなので,一般の方に簡単に理解されるものではないということは理解している。しかし,今回文化交流使に指名いただいたお陰で,日本のメディアにも多く取り上げられた。来年はあいちトリエンナーレの参加アーティストにも選ばれたこともあり,ヨーロッパでの公演はもちろんのこと,日本での上演の機会も今後増えればと願っている。これをステップとして更なる飛躍を目指していきたいと思う。

2015/7/3 パリ日本文化会館“Noh × Contemporary Music パスカル・デュサパン氏 を迎えて”写真撮影:国際交流基金

2015/7/3 パリ日本文化会館“Noh × Contemporary Music パスカル・デュサパン氏
を迎えて”写真撮影:国際交流基金

終演後,パスカル・デュサパンとフルーティストのマリオ・カローリと共に

終演後,パスカル・デュサパンとフルーティストのマリオ・カローリと共に

2015/9/22 ハンガリーBudapest Music Center “Noh×Contemporary Music ペーテル・ エトヴェシュ氏を迎えて”

2015/9/22 ハンガリーBudapest Music Center “Noh×Contemporary Music ペーテル・
エトヴェシュ氏を迎えて”

2015/10/21 ケルン日本文化会館“Noh × Contemporary Music 細川俊夫氏を迎えて” 写真撮影:国際交流基金

2015/10/21 ケルン日本文化会館“Noh × Contemporary Music 細川俊夫氏を迎えて”
写真撮影:国際交流基金

2015/10/21 ケルン日本文化会館“Noh × Contemporary Music 細川俊夫氏を迎えて” 写真撮影:国際交流基金

2015/10/21 ケルン日本文化会館“Noh × Contemporary Music 細川俊夫氏を迎えて”
写真撮影:国際交流基金

青木涼子プロフィール