想像力の条件を得る

平成26年度文化庁文化交流使(海外派遣型)
岡田 利規
演劇作家・小説家
  • 派遣国:中国,韓国,タイ
  • 活動期間:2015年1月12日~3月2日

私は文化交流使として,1 月半ばから3 月はじめまでの2か月弱,中国・韓国・タイを訪れました。中国は初めて行きました。私の中に「東アジア」というフレームで何かを考えることができるためのごく初歩的な条件が,中国を訪れたことによってインストールされたような気がします。

北京のペンハオ劇場で2 日間にわたって行われたイベントは有意義でした。観客たちの熱い好奇心に触れ,私も,そして劇場側も,作品を映像で紹介するだけでは物足りない,実物をもってきて北京の観客に実際に見てもらいたい,という強い意欲をかき立てられました。遠くない将来,必ず実現したいと思います。

ソウルでの1か月は,約半年後の9 月に初演を行った『God Bless Baseball』という日韓合作の舞台作品のリハーサルにいそしむ日々でした。最終日にショーイングも行い,その後の作品づくりに大いに役立ったフィードバックも得ました。

韓国にはそれなりに長い期間滞在できたため,日本と韓国の政治的・歴史的な関係をめぐるさまざまなことをこれまで以上に深く考えるための契機ともなりました。

その具体例を一つ挙げます。中国にいたとき,自分を東アジア人とアイデンティファイするという新しいビジョンを得たように思いました。けれどもそのビジョンは韓国でクールダウンしました。なぜなら韓国では,自らを東アジア人とアイデンティファイしようとする日本人というのは,日本人であることによって韓国に対して負うべき責任から逃れようとしているように見られるからです。このプロセスすべてが私にとって非常に大きな経験だったのです。

タイのバンコク郊外の,ピチェ・クランチェン氏のダンスカンパニー所有の野外劇場でコラボレーションによるパフォーマンスを作りかつ上演することができたのも,非常によかったです。一昨年神戸で行ったパフォーマンスよりもブラッシュアップできました。

東アジアというフレームで機能するために仕事する。そういうことを想像できるようになるために必要な経験を,多く得られた2か月でした。とても貴重なものを得たのですから,今後も活かしたいものです。

中国 北京のペンハオ劇場にて,演出家の李建軍氏とのトーク

中国 北京のペンハオ劇場にて,演出家の李建軍氏とのトーク

韓国 光州にて,アートを学ぶ学生とのディスカッション

韓国 光州にて,アートを学ぶ学生とのディスカッション

韓国 ソウルにて,新作の公開リハーサル

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タイ バンコクにて,ワークショップに参加した学生と

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タイ バンコクにて,コラボレーション作品の公演

タイ バンコクにて,コラボレーション作品の公演

 

岡田利規プロフィール