ベトナムとタイに滞在して

平成27年度文化庁文化交流使(長期派遣型)
小野寺 修二
コンテンポラリーダンス,マイム,「カンパニーデラシネラ」主宰
  • 派遣国:ベトナム,タイ
  • 活動期間:2015年12月15日~2016年1月27日

2016 年冬,文化庁文化交流使としてベトナムとタイに滞在させて頂いた。これまでも演出作品の海外公演機会はあったのだが,アジアに赴くことは少なく,前団体での2013 年タイ公演以来のアジア国訪問となった。最初お話を頂いた時は,アジアの国々の違いも明瞭ではなく,予備知識の少ない中でのスタートだったが,帰国した今となっては良い時期に,良い経験をさせて頂いたと思っている。
まず渡航準備段階で,現地でのワークショップ開催希望を出すのだが,そのことに対するイメージはあまり湧いていなかった。誰が,何を求めて,と半信半疑だったのだが,実際は多くの方に集まって頂き,そのことに驚いた。日本語を勉強中の若者にも多く会った。普段日本国内にいて,自身は学ぶ姿勢をこのように持ち続けているだろうか,内向きに発信を続けているのではないだろうか,そんなことを思った。
20 年以上舞台活動を続けてきたものの「日本固有の芸術」に特化しているわけではない自身の活動が,日本派遣,文化交流使の任を得て,どのように受入れられるか未知数であった。しかし,伝統とも普遍的ジャンルとも違う「自由な」表現として,新鮮さでもって受入れられたように思う。ベトナム,タイ両国共に,「知らず知らずの間に(自分達は)伝統に縛られていたと気付いた」と口にするアーティストが多く,日本文化の寛容性,ある種特徴を見た気がした。
また自らの思惑とは違って「日本らしさを感じた」という感想も多く,日本に対するイメージを掴むと共に,好意的に受け止められている土壌を感じた。伝統に縛られ過ぎていない,自由な風通し,丁寧さといった面の高評価を多く耳にした。
また,マイムの表現は「見立て」を軸にしていて,そういったものの見方や考え方の提示は,新鮮にうつるようだ。自身の活動を思わぬ角度から励ましてもらった気がしている。
アジア的な開放感を強みに,ヨーロッパ文化に寄り添い過ぎるのではなく,混沌の魅力,本来持っていた枠組みに囚われないものの捉え方で,アジア独自の文脈を掘り起こしたい,そんなことを思った。

ハノイ映画演劇大学舞踊コース学生ワークショップ。2015/12/22

タイ公演ポスター

バンコクワークショップ(フリーランス)。2016/1/17

ハノイ,青年劇場。2015/12/21

ベトナム公演ポスター

 ベトナム公演ポスター小野寺 修二プロフィール